「【明治・大正・昭和】不良少女伝‐莫連女と少女ギャング団」平山亜佐子著／ちくま文庫を読み終わったので感想を書きたいと思います。
明治から大正そして昭和初期〔昭和10年頃〕までの不良少女について調べて書かれた本です。当時の新聞記事が基本情報となっています。
最初に出て来るのが丸ビル一の美人とうわされれて少女がハート団という不良グループの首領で“ジャンダークのおきみ”の異名を取っていたお話〔詳しくは後で記述されています〕。
明治時代は不良少女は「莫連女」と呼ばれていた模様。集団には名前を付けている場合もあり〔「曙組」など〕。
大正時代になると洋装の不良少女が出てきます〔さすが大正ロマン〕。映画「ジゴマ」が流行って影響を受ける者多数、映画役者やオペラ女優に憧れて家を出る者もあり。女優募集で集まった娘を弄ぶ悪い奴も登場します〔今でも居ますね〕。不良化の原因にも色々あり。
先に書いたハート団は丸ビルを拠点に多数の少年を弄んだ模様〔当時の新聞には「丸ビル美人伝」なる連載もあったようです〕。ハート団を率いた林きみ子の写真が残っていますが美人です。
他にも色々な不良少女の姿が書かれています〔大正時代に一番多くのページ数が取られています〕。男装の女スリなんというのも居たそうです。不良外人も跋扈しております〔この頃から・・・〕。
昭和時代の初期には少女ギャング団が登場したりします。モガも不良外人も引き続き登場します。わざわざ美人を団長に据える不良団もいます。背景についても考察してあります〔理由は色々様々〕。
明治から昭和初期まで不良少女を紹介していますが現在と似ていたり似ていなかったりしていて面白いです。
元ネタとなった当時の新聞記事、捕まった少女の住所から親の名前まで書かれていますが〔さすがプライバシー概念の無い時代〕割と適当に書かれていることもあって、こっちの方も恐ろしい気もいたします〔新聞に誤報があるのは今も変わりないですが〕。
明治から昭和初期の「不良少女」という今まで取り上げられてこなかった事について細かく調べているのは凄いと思います、当時の新聞記事が読みづらいところもありますが面白い1冊でした。
