「第一次世界大戦史‐風刺画とともに見る指導者たち」飯倉章/中公新書を読んで

 第一次世界大戦を分かりやすく理解するのに良い一冊。

 人間を中心として大戦の流れを時系列で解説しています。日本語で簡単に読める第一次大戦の本は少ないので助かります。

 第一次大戦は20世紀以降の世界情勢や軍事に大きな影響を与えたのにかかわらず日本がほとんど参加しなかったため〔青島攻略は有名ですが日本海軍は地中海に船団護衛に艦艇を派遣しています〕あまり重要視されていません、世界史の授業でもここまでたどり着かないことも多いです。

 最近になってNHKの「映像の20世紀」でまるまる1回使って放送され認識が高まったのですが実際調べようとすると通史すらあまりありません〔高価な専門書ならありますが〕。そんな時にこの本は判りやすくて手頃で良いです。

 サブタイトルに出ている風刺画については新書というサイズの都合上どうしても小さくなっているのが残念です。

 

 第一次大戦は軍事的も革新的な戦争でした。航空機・戦車・潜水艦・毒ガスは第一次大戦で初めて本格的に使用された兵器です。でも日本語の当時の資料は少なくて私の好きな航空機で言うと第一次大戦の航空機の日本語本は10冊も出ていないと思います。「世界の傑作機」でも1冊も出ていません〔「世界の傑作機」にあたる「In Action」シリーズだと10冊は出ていますし「WINDSOCK DATAFILE」という第一次大戦専門のシリーズが出ているくらいです〔200冊近く出てます〕〕

 学研の「図説 第一次世界大戦」上下巻とイカロス出版の「戦乙女のWWⅠ兵器教室」「戦乙女のWWⅠ戦史教室」ぐらいが入手しやすくて判りやすい本ですからね〔「戦乙女」シリーズは萌えミリタリー系ですが内容がしっかりしていて良い本です〕

 

 「風刺画」に期待を大きく持たない限り良書であります。