4月29日月曜日に1970年大阪万博跡地にある国立民族学博物館で開催されている「子ども/おもちゃの博覧会」に行ってきました。
江戸から明治・大正・昭和40年代までの様々な玩具を展示した特別展です。
「江戸時代の玩具」・・・誕生や節句に関わる玩具〔端午の節句・雛人形・正月〕や江戸の娯楽玩具が展示されています。数は多くありません。
「時代と玩具」・・・明治になってから玩具達です。明治になると欧米流の社会制度や科学技術が一気に流入してきました、当然のことながら玩具もその影響を受けることになります。
新しい技術と玩具・・・乗物の玩具が一気に増えます。汽車に電車のオモチャに双六、読み物、メンコが登場します。船や飛行機、飛行船、馬車、人力車、自転車、自動車、オートバイも登場・・・貴重なブリキのオモチャが多数見られます。
新しい知識と玩具・・・電気、理科の知識、音の再生、新しい動力、光〔カメラや幻灯機〕等々。
新しい素材と玩具・・・ブリキにアンチモニー、ゴム、セルロイドが登場します
新しい仕事と玩具・・・鉄道とバス〔鉄道ごっこの道具〕、消防、電信、電話、銀行〔銀行遊びなるものがあったらしい〕、経済、様々な仕事、この辺は紙物が多いですね。
学校教育と玩具、幼稚園・幼児教育と玩具、教育に関わる玩具・・・ここも紙物中心、カルタや双六が多いです。教育玩具の広がりのお座敷遊が良い感じであります。
子どもと本・・・絵本が登場します、児童出版物も展示されています。
商品としての玩具・・・ここからは商業用の玩具。販売促進用の玩具、百貨店も玩具販売に努力しました。屋台や駄菓子屋の玩具も多数展示。
外国と玩具、日本と玩具・・・西洋人形、世界の著名人のオモチャ、ロイド人形の実物や天才子役シャーリー・テンプルの玩具の実物を初めて見ました。ポパイやペティー・ブーブ、初期のミッキー・マウスのオモチャもあります。和洋折衷の変な物もあります。
玩具の中の日本・・・お伽噺や昔話、歴史上の人物・事物を題材にした物が多数。
玩具の伝承と時代・・・昔からある凧や羽子板も生き残っています。
男の子の遊び・女の子の遊び・・・男の子はメンコにベーゴマ、ビー玉、戦争ごっこ。女の子はままごとや人形がメイン。大正時代のままごと用台所と調理器具の出来が素晴らしい。女の子向けの本で「幼女の・・・」という本が多い。
世相や流行と玩具・・・やっぱり時代の影響は受けます、戦争があれば戦争がらみ、人気役者や相撲取り、野球選手にマンガのキャラクターが出回ります。正ちゃんやノンキナトオサン、冒険ダン吉、フクチャン、コグマノクロスケ等々、ここでは貴重な物が見られます。
軍事柄の物品・・・軍用機・大砲・日の丸をあしらった着物や軍艦・戦車柄のチャンチャンコが見られました、これは貴重です。
以前、「図説・着物柄にみる戦争」乾淑子編著という本を買っていて、このような着物の柄があることは知っていましたが実物を見るのは初めてです。
「戦争と子どもと玩具」・・・明治から昭和の前期までは戦争の時代でありました〔その前後に日本が戦争をしなさすぎたというのもありましたが、日本以外ではあちこちで戦争が続いています〕。
日清日露戦争と玩具・・・戦艦敷島のブリキ製オモチャあり。紙製品が多い。
第一次世界大戦以降と玩具・・・現在の日本ではほとんど語られることの無い第一次世界大戦ですが当時にとっては大事件、近代兵器が多数登場です。
戦車・飛行機・飛行船ののオモチャ登場です。大戦が終わった後1930年代には「のらくろ」登場です。
満州事変以降の戦争と玩具・・・三国同盟絡みのオモチャ登場。兵器も近代化、空母のオモチャも登場。「巡洋艦那智級模型キット」〔今では妙高級ですね〕は木製キットですがガラスビン入りの塗料付き、当時では高価だったと思われます。慰問袋に入れる玩具も展示。
「戦後の玩具とこども」・・・戦後ですね。
占領下の玩具・・・占領軍が捨てた空き缶で作ったオモチャから生産再開、オキュパイド・ジャパン〔占領下日本〕のオモチャも展示されていて貴重。
アメリカへのあこがれ・・・アメリカへの憧れは戦前からあったのですが戦後に一気に開花します、アメ車にGIジョー、西部劇が大流行。
新しい技術を用いた玩具・・・フリクション〔はずみ車を内蔵していて、それで動く〕や電動玩具登場、そして超合金登場です、このあたりから知ってますね、当時のオモチャをおいていたら価値があったのに・・・。
駄菓子屋と子ども・・・新興住宅街に住んでいたので近所に駄菓子屋が無くて・・。
マスメディアから生まれた玩具・・・赤胴鈴之助・月光仮面・鉄腕アトム・鉄人28号・ウルトラマンシリーズ等多数あり。天才バカボンのソフビってあったんだ、天才バカボン大好きで見てたのに知らなかった
スポーツ界や芸能界の玩具・・・ブルース・リーの空手アクション人形ってあったよね。
最後に歴代リカちゃんが登場です。
とにかく展示物が多くて見応えあり。
コストパフォーマンス良し。万博公園の入場料込みで大人420円であります、図録も税込みで2000円割っています〔買いました〕。
難点は展示品の解説表示が小さくて見にくいです、あれは何とかして欲しいですね。
ちなみに国立民族学博物館本館の展示も濃いです、見ていて途中で疲れるレベル。各地の民俗にいかにキリスト・イスラム教が濃い影響を与えているかよく判ります。