「サブカル昆虫文化論‐アニメ・ゲーム・漫画・特撮・玩具」を読んだ

サブカル昆虫文化論‐アニメ・ゲーム・漫画・特撮・玩具」保科英人/宮ノ下明大/福富宏和編/総合科学出版刊を読んだので感想を書きたいと思います。

サブカル昆虫文化論

 日本〔一部海外〕の現代サブカルチャーで描かれる昆虫を昆虫学専門家が考察するという1冊であります。

 最初に神話時代から太平洋戦争が終わるまでの日本人と昆虫の関わりを考察。鳴く虫・蛍・セミがメインでした。

 第2章で「霊として描かれる昆虫」、まさかいきなり『かなめも』が出て来るとは思いませんでした。蛍や蝶がメインですね。

 第3章以降でアニメ・特撮・カプセルフィギュア・ゲーム・アニメ・漫画と昆虫の関わりを考察します。特撮では仮面ライダーのモデルとなった昆虫や特撮物に出て来る怪獣・怪人の元となった昆虫の考察、ゲームと昆虫の関係では多くのノベルスゲーム〔18禁を含む〕を考察、アニメと昆虫ではセミとアニメの関係を特にセミに注目して考察しています。とにかくよく調べてあります、ノベルスゲームはよくこれだけプレイしたと感心するばかり〔知らない作品多し〕、アニメも思いっきり視聴してるし〔アニオタの私も見ていない作品も〕とにかく細かすぎる。

 第9章では「現代版虫愛ずる姫君列伝」ここでは10人のキャラクターの解説、残念なのは小箱とたん著の「スケッチブック」の虫大好き女子高生「栗原渚」が乗ってないこと、紹介されている女の子達よりずっと詳しいですよ。

 第10章でまとめとして「サブカルチャーから見えてくる現代日本の昆虫観」、戦後になってからカブトムシとクワガタの人気が出た理由などを考察。「日本人はなんて虫好きな民族だ!」というありがちな結論は出していません、諸外国に対する優越性の発見が目的で無いというのも面白いです。

 とにかく調べ倒したデータに基づき書かれたものでありながら大変、読みやすい1冊となっております。知的好奇心を満足させてくれた1冊でした。