「日本エロ本全史」安田理央を読み終わった

 「日本エロ本全史」安田理央著/太田出版を読み終わったので感想を書きます。

 

日本エロ本全史

日本エロ本全史

  • 作者:安田 理央
  • 発売日: 2019/07/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 1964年から2018年までに創刊された100冊のエロ本をオールカラーで紹介した大著であります。

 戦後〔1946年創刊〕最初に創刊されたのが「りべらる」、2018年に創刊されたのが「FANZA」であります。

 戦後すぐに創刊されたのが俗に言う「カストリ雑誌」であります〔カストリの語源に関しては諸説あり〕。60年代になると「平凡パンチ」や「週刊プレイボーイ」が発売、70年代以降、多くのエロ本が創刊され休刊、廃刊となっていきます。

 特に2000年以降のインターネット普及と数々の出版規制〔今も続く〕がエロ本を衰退させていきます。

 その間がエロ本の全盛期、私もお世話になった本がありますし今回初めて知った本もあります・・・これに載ってない本も多数あると言うので凄いですね。

 大変貴重な文化資料です。

 私はこういう大量に情報が積み込まれた本が大好きです。

 面白かった。 

「英国軍艦勇者列伝」岡部いさく著を読み終わった

 「英国軍艦勇者列伝」岡部いさく著/大日本絵画刊を読み終わりましたので感想を書きます。 

英国軍艦勇者列伝

英国軍艦勇者列伝

 

  最近、偶然にも英国軍艦本を読んでいます。この本は2012年出版になります、偶然にも古書店で見つけたので購入した本であります。

 この本は艦船模型雑誌『NAVY YARD』に連載されている「なんだか蛇の目のフネだから」の連載をまとめた本です〔現在も連載継続中〕。

 日本で人気と言えば日本の軍艦〔自国ですから〕にアメリカ軍艦そしてドイツ軍艦でしょうか、イギリス軍艦の人気は今ひとつ〔失礼〕でした。最近では色々な本が出たりアオシマから1/700キットが色々発売されるなど徐々に盛り上がってきております。

 本書で取り上げられているのは「巡洋戦艦インヴィンシブル」「E級駆逐艦」「アーチャー級護衛空母」「ダイドー級軽巡洋艦」「J〜K級駆逐艦」「C級軽巡洋艦」「V〜W級駆逐艦」「U級潜水艦」「トライバル級駆逐艦」「ロイアル・ソヴァレン級戦艦」「アブデエル級敷設巡洋艦」「リアンダー級フリゲイト」「巡洋戦艦タイガー」であります。

 最初が「巡洋戦艦インヴィンシブル」、英国軍艦の艦名の意味から入ります。英国軍艦の名前は他の国の軍艦と違って形容詞が艦名になっていることが多々あります。日本ではありませんよね・・・日本の場合、他国のように人命を艦の名前に付ける事も無いですね。そこから始まって艦の解説と履歴の説明、もちろん岡部いさくさんの本ではお約束のイラスト解説もあります。

 他の艦についても同様の解説ですね・・・トライバル級駆逐艦などは艦の数も多いので連載4回分になっています。

 とにかく読みやすいし蘊蓄たっぷりだし、いつもの良い意味での「岡部いさく本」ですね。出来れば写真が少し付いていれば文句なしなんですけど。

 第2巻発売希望です。

 今度は新刊で買おう。

「世にも危険な医療の世界史」を読み終わった

 「世にも危険な医療の世界史」リディア・ケイン、ネイト・ピーダーセン著/福井久美子訳/文藝春秋社刊を読み終わりましたので感想を書きます。

 

世にも危険な医療の世界史
 

  買って1年ほどたつのですが新型コロナウイルスが流行している時期に読む事になってしまいました〔買った順番に読んでいます・・・ストックが1年分ぐらいあります〕。

 ある意味、恐ろしい本です。

 人間の負の歴史ですね、前向きな言い方をすれば試行錯誤の歴史です〔犠牲は多かった〕。

 本文は使われた物質や装置などを大きく5つに分けられています。「元素」「植物と土」「器具」「動物」「神秘的な力」、それに追加して「トンデモ医療」のコラムが6編掲載されています。

 「元素」では水銀・アンチモンヒ素・金・ラジウムラドン〔金以外は怪しさが漂いますね〕。

 「植物と土」ではアヘン、ストリキニーネ、タバコ、コカイン、アルコール、土〔中毒性が高い物多し〕。

 「器具」では瀉血ロボトミー、焼灼法、浣腸、水治療法、外科手術、麻酔〔瀉血ロボトミー、焼灼法が怖すぎます〕。

 「動物」ではヒル、食人、動物の身体、セックス、断食〔使い方によっては・・・〕。

 「神秘的な力」では電気、動物磁気、光、ラジオニクス、ローヤルタッチ〔オカルト成分多し〕。

 「トンデモ医療」では女性の健康法、解毒剤、男性の健康法、ダイエット、目の健康法、癌治療についてのコラムです。

 読んでるとどれもこれも危険な医療なのですが・・・真剣に治療をしようとして試行錯誤している物と一儲けしようと企む悪い物の両方があります。常識で考えても悪そうな瀉血モーツアルトは2リットル抜かれて病状悪化→死亡〕も真面目に信頼されていた時代があります。

 「危険な医療の歴史」は医学の歴史の一部なのです。ここを避けて通る訳にはいかないのですね。

 そんな難しい事を考えなくても読むと色々な歴史の事実やエピソードを知る事が出来る一冊です〔アジアの医学についてはほとんど載っていないのは少し残念〕。

 

 現在、世界は新型コロナウイルスで大変な事になっています。

 私も会社から自宅待機を命じられて出勤したりしなかったりの日々です〔工場で物作りをしている人間なので自宅勤務は出来ません、装置を触らないと仕事になりませんからね〕。

 まだ治療法が確立していない新型コロナウイルス、何十年かして振り返れば「あの時、こんな変な治療法してたんだよ」と言われる事になるかも知れません、それを知るためには生き残るしかないのですね。

 いまでも、トンデモ治療法のデマが流れる事があります。少し前にHIVが流行りだしたときに「肛門に直射日光を当てれば治る」というのがあったんですが〔確か1980〜90年代だった・・・記事が見つけられなかった〕最近になってまた出てきています。

www.gohongi-clinic.com

 この場合、害は無さそうなんですが効果もありません。害のないトンデモ医療なら良いのですが現実には害のあるトンデモ医療が流布される事があります・・・気をつけましょう。

「きよのさんと歩く大江戸道中記」金森敦子を読み終わった

 「きよのさんと歩く大江戸道中記‐日光・江戸・伊勢・京都・新潟……六百里」金森敦子著/ちくま文庫を読み終わりました。

 

  江戸時代後半の旅行記です。

 鶴岡に住む裕福な商家の内儀・三井清野が日光・江戸・伊勢・京都・新潟と総距離600里、現在の単位だと2420kmを108日かけて旅行した記録であります。

 この本の解説を書かれている石川英輔さんが自著でよく紹介されている本なので一度読んでみようと思っていたのですが本屋でなかなか見つからず大阪の巨大書店で見つけて購入した本です〔中身を見ずに買いたいと思うほどでもなかったのも現実〕。

 裕福な商家の内儀の清野さんが旅に出たのは31歳、長女も14歳になって長男の子育ても一段落、夫である四郎兵衛にも勧められ旅立ちます〔夫も124日間、647里の旅行をしています〕。

 江戸時代もこの頃になると多くの女性も旅に出ます、でも女性一人では色々と問題があるので武吉という信頼の置ける男性、そして八郎治という荷物持ちを連れての旅です。

 この旅日記の特徴は紀行文では無く記録分と言う事、道中で見た事、あった事を率直に書いていきます。女性ならでは観察眼も働いています〔飯盛女の衣装や一般女性の髷の形など〕。

 

  さて江戸の旅での問題点と言えば「関所」であります。

 「入り鉄炮に出女」と言って関所を通る時に女性は関所手形を用意した上で細かく調べられるというのがお約束〔規則〕ですが清野さんは関所手形無しで旅をします・・・旅が出来ました。江戸も後期になると町人・百姓身分の女性が手形無しで旅をしています〔武家の女性はちゃんと手形を用意したようです〕。手形無しでの関所通過方法、すなわち「関所抜け」です。この事について清野さんの旅日記には細かく書かれています〔他の旅日記にはあまり書かれてないようです〕、これだけでも貴重ですね。江戸の法令は文面だけ見ると厳しい物が多いのですが「三日法度」と言われてあまり守られていなかったのも事実です〔だから同じ法度が何度も出された〕。

 

 次のこの日記の特徴は旅日記とともに出納帳も付いています〔出納帳の内容は全て載っていません〕、清野さん買い物しまくってます、豪快です、自分のためや周りの人のために買いまくってます。食べ物も贅沢していて良い物は日記に細かい内容が書かれています。江戸では芝居も見ています。他にも色々・・・当時の贅沢な旅というのが日記で判ります、これは大変貴重。

 

 流麗な文章で書かれた紀行文でないぶん、朗らかで自分の興味のある事をとにかく書き綴った旅日記は当時の旅や生活を知るための大変良い文章になっています。

 その旅日記を細かく解説し他の旅日記や残された文章と照らし合わせながらわかりやすく解説したこの本は大変良い本だと思います。

 面白かったです。

「イギリス海軍の護衛空母」瀬名堯彦を読み終わった

 「イギリス海軍護衛空母‐船団護送に長けた商船改造の空母」瀬名堯彦/光人社NF文庫を読み終わりました。

 

 

 先日「巨砲モニター艦‐設計・建造・運用19141945」を紹介しましたが

ta283.hatenablog.com

 またイギリス海軍のマイナー艦船の本が登場しました。

 イギリス海軍の空母なら「アークロイヤル」や「ハーミーズ」が有名ですが〔第二次大戦時の空母も戦後のV/STOL空母も〕大戦中の護衛空母も縁の下の力持ちとして大切な存在です。

 でもイギリスの護衛空母“だけ”の本がたとえ文庫だとしても出版されるとは凄い時代になりました。

 雑誌「丸」に連載していた物に加筆して一冊にまとめた本です。

 内容は「空母戦術の確率と商船の航空機搭載」から始まりドイツ海軍の通商破壊戦に対抗したCAMカタパルト装備商船の出現と続きます〔商船からカタパルトで戦闘機を飛ばして船団護衛、でも商船には引き返せず基地に帰投〕。

 「世界最初の護衛空母オーダーシティ」、護衛空母の元祖はイギリス海軍でした。

 「米国の護衛空母建造」、アメリカ海軍も商船改造を計画。

 「アーチャー級」、イギリス海軍アメリカに発注した最初の護衛空母群。

 「英国建造護衛空母」、6隻の護衛空母が建造されました。

 「アタッカー級」、アメリカ製護衛空母第2陣、C3−S−A1型貨物船からの改造です。

 「ルーラー級」、アメリカ製護衛空母最終グループ。アメリカ海軍のボーグ級後期型に相当します。

 「MAC商船空母」、穀物運搬船、タンカーを改装した商船空母群。豪華客船クイーン・エリザベスの改造計画もありましたが計画だけでした。

 ここまでが本書の内容です。

 掲載された全て空母の要目や行動について詳しく書かれています、ほぼ全ての艦の写真も掲載されてます〔文庫なのでモノクロですが〕。

 イギリス護衛空母の基本データはほぼおさえられます。

 この本で本当に驚く事はアメリカの生産能力の高さです。アメリカ海軍向けにあれだけ空母を作っているにもかかわらずイギリス向けにもこれだけ空母を作れるのですから〔アメリカからイギリス輸送時には飛行機も付いてくる〕。敵に回したくないですね。

 

 イギリス海軍艦艇を知るための良書の一冊です。

 

 

これから見に行きたい展覧会について

 これから見に行きたい展覧会をピックアップしておきます。

 新型コロナウイルスの影響でどこまで開催されるか判りませんが開催祈願として書きたいと思います。

 

神戸市立博物館「コートールド美術館展 魅力の印象派

www.kobecitymuseum.jp

 本当なら昨日〔3月28日〕から開催されていたはずなんですが〔涙〕。

 印象派の名品が並ぶというので期待しています。

 

西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」

otanimuseum.jp

 やっと関西で開催です。エッシャーの師匠としても有名な人です。

 

芦屋市立美術博物館「藍のファッション展」

https://ashiya-museum.jp/exhibition/exhibition_next/13898.html

 

宝塚市手塚治虫記念館「よつばと!原画展」

www.city.takarazuka.hyogo.jp

 リニューアル記念で開催される予定だったんですが無期限延期です〔涙〕。

 

 続いて大阪府

大阪市立美術館「フランス絵画の精華‐大様式の形成と変容」

https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/france

 

国立民族学博物館「先住民の宝」

www.minpaku.ac.jp

 

LIXILギャラリー大阪「組紐‐ジグザグのマジック」

www.livingculture.lixil

 

 続いて京都

京都国立近代美術館チェコ デザイン 100年の旅」

www.momak.go.jp

 

京都市京セラ美術館開館記念展「最初の一歩:コレクションの原点」

kyotocity-kyocera.museum

 

 最低でもこのぐらいは見に行きたいのですが・・・

 早く収まれコロナウイルス!。

「巨砲モニター艦‐設計・建造・運用1914〜1945」を読み終わった

 「巨砲モニター艦‐設計・建造・運用1914〜1945」イアン・バクストン著/橋本若路訳/本吉隆監修/イカロス出版を読み終わりました。 

巨砲モニター艦

巨砲モニター艦

 

  いやぁ〜とんでもない本の翻訳が出ましたね。イギリスのモニター艦を一冊丸々解説した本を日本語で読む事が出来るなんて〔イギリス本国なら出る可能性が全くないとは言えませんが・・・「世界の傑作機第一次大戦版「WINDSOCK DATAFILE」が出る国ですから〕良い時代になりました。

 なにしろ25.7×21cmで274ページです。ずっしりと重いです。

 モニター艦と言えばアメリカの南北戦争北軍が使用した装甲艦「モニター」が有名ですが、この本ではイギリス海軍第一次大戦から第二次大戦終了まで使用した巨砲搭載モニター艦についての解説がこの本のメインであります。

 第一次大戦の陸上戦における膠着状態を何らかの海軍戦略で打破するために第一海軍卿フィッシャーと海軍大臣ウイストン・チャーチル〔タンクだけじゃ無くモニター艦にもチャーチルが絡んでいたとは〕が考えた一つが「巨砲モニター艦」であります。最初に作られたのが14インチ砲モニター艦ロバーツと同型艦3隻であります。

 続いて12インチ砲モニター、15インチ砲モニター、小型モニター、15インチ砲モニター第2シリーズが建造されました。同時にブラジル河川用モニターやノルウェー海防戦艦の解説も載っております。

 第二次大戦においても15インチ砲モニター艦「ロバーツ」「フバクロンビー」が建造され使用されました。

 これらのモニター艦について設計・建造・性能・問題点・戦歴・図面・写真等々とにかく細かく細かく書かれています。最後に一章を用いて搭載された砲についても細かく書かれています。

 訳注や図表対訳表も細かく書かれてます。

 

 艦艇マニアにはたまらない本ですね。

 このような地味な艦達についての本が出る事にひたすら感謝いたします。

 値段は3500円+消費税とお高くなっておりますが〔軍事関係の本は基本的にお高いですが〕内容と発行部数を考えると妥当な物だと思います。

 買って良かったです!!。