10月17日にあべのハルカス美術館「奇才‐江戸絵画の冒険者たち」を見に行ってきましたので感想を書きたいと思います。
有名な伊藤若冲や長沢蘆雪、歌川国芳、葛飾北斎、谷文晁、円山応挙、白隠から地方の名もあまり知られていない画家の作品まで展示されています。おどろおどろしいものや怖い物から笑えるような物、マンガのご先祖のようなものまであります。
展覧会自体は前期・後期に分かれており、ほとんどの作品が入れ替わる形になっています。私が見に行ったのはスケジュールによると後期に当たります。全貌を見るには前期・後期の両方に行くか〔今からはもう無理〕図録を買うしかありません。
さて、それでは印象に残った作品を取り上げていきたいと思います。
狩野山雪「龍虎図屏風」・・・龍の眼が良いです。
伊藤若冲「乗輿舟」・・・宣伝には伊藤若冲の名前が先頭に載っておりますが展示されているのは、この1作品のみです〔前期には別の1作品が展示されていた模様〕。
長沢蘆雪「虎図襖」「龍図襖」・・・虎がちょっと可愛い、龍は足先の存在が迫力満点。
与謝蕪村「弁慶図」・・・愛嬌有り。
中村芳中「菊図」・・・菊が「みかん」にしか見えないが、ほのぼの。
中村芳中「公卿観楓図」・・・公家の後ろ姿を描いた作品、愛嬌有り。
耳鳥斉「別世界図」・・・私の好きな耳鳥斉、この絵は地獄に落ちた人々が描かれていますが現在のマンガやイラストに近い感覚。ちなみに歌舞伎役者は大根と一緒に釜で煮られています〔笑〕。
耳鳥斉「福禄寿」・・・鹿の角が可愛い。
葛飾北斎「上町祭屋台天井絵男浪・女浪」・・・やっぱり北斎の「浪〔波〕」は特徴的。
林十江「木の葉天狗図」・・・知らなかった画家、くちばしと羽が力強くて印象的。
髙井鴻山「妖怪図」「火炎妖怪図」「煙吐く妖怪図」・・・この人も知らなかった画家、独特の色彩と表現で怖いです、現在の感覚に近いものもあります。
白隠「一つ目小僧」・・・白隠の展示されている絵はどれも易しい感じ、この作品は一つ目小僧が「眼が一つだから怖いだろ」と目が見えない按摩さんを脅かしている絵、按摩さんは「おいらは眼が一つも無いぞ」とすましているというユーモアのある作品。
絵金「花衣いろは縁起 鷲の段」「東山桜荘子 佐倉宗吾子別れ」・・・未知の画家、とても特徴のある描き方と色彩。
仙厓「七福神図」・・・和やかな絵、見てるだけで顔がほころんでしまう。
片山楊谷「竹虎図屏風」・・・虎の毛の描き込みが凄い。
とにかく多くの画家〔合計35人〕の作品を展示するために一人当たりの作品数は数点となっています〔あべのハルカス美術館自体の面積も小さいのもある〕。でも、これだけ多くの画家の作品〔それも、それほど有名でない画家の作品を含む〕を見られるのはありがたい事です。未知の画家の作品を多く見られた事は素晴らしい・・・江戸時代の美術の幅の広さを知る事を出来ました。
図録〔税込み2700円〕はとても立派で重たいです、前期・後期両方の作品が掲載されています。買って帰ったのは良いのですが置くところに困っております〔苦笑〕、その分の価値はあるんですけどね。
見に行って正解でした・・・前期も行けば良かったなと、そこは後悔しております。