西宮市大谷記念美術館「没後二〇年今竹七郎」展に行ってきた

 西宮市大谷記念美術館「没後二〇年今竹七郎‐近代日本デザインのパイオニア」に開催初日の10月10日に行ってきましたので感想を書きたいと思います。

otanimuseum.jp

 HPにも書かれているように「どこの誰だか知らないが。そのデザイン!誰もがみんな知っている」今竹七郎の作品展です。私も名前を見た時にはピンときませんでしたが

メンソレータムのナース

・オーバンドの輪ゴムのパッケージデザイン

・今は無き南海ホークスのマーク

関西電力の社章

などを手がけた人であります。西宮市に戦前から亡くなるまで住まれたという事で西宮市大谷記念美術館で取り上げられるにふさわしい人であります。

 では展示にそって感想を書きたいと思います。

 序章「グラフィックデザイナーへの萌芽」・・・デザイナーとしてデビューする前に描かれた作品です。すでに上手いです、「理科筆記帳」の人間骨格の絵などはすでに完成の域に達していると思われます。

 第一章「戦前におけるデザインの仕事」・・・今竹七郎はまず神戸大丸に入社しデザインの仕事を始めます。20年代の終わりから30年代にかけての仕事です、たいへんモダンなデザインです。私は「フライヤー・店舗立面図」「フライヤー・新製品紹介」がお気に入りになりました。

 その後、大阪高島屋の仕事。細い線と白黒で作られた新聞広告が素敵です。ランランチックや東松軒、大毎フェア、京都吉田忠商事の着物など多くの広告を手がけています。戦時中は「NIPPON」などの表紙も手がけています。

 第二章「戦後におけるデザインの仕事」・・・戦後、今竹七郎は自らデザインスタジオを運営します。

 高島屋住友銀行大阪銀行、グランドサロン・モナコ、ファッション・ショー、風邪薬・ダン、東洋レーヨンのナイロン、お酒の白鶴のパッケージ、とよすあられ、社章も多数です。

 「昔こんなデザインをよく見たぞ」というのが多数あります。人物の黒目が妙に大きいのも特徴的です。

 第三章「今竹七郎と西宮」・・・「グラフにしのみや」のデザインが中心です。

 第四章「絵画制作」・・・デザインとは別に絵画も制作しています。抽象表現がほとんどです。特にモナリザを素材にした作品が多数です。モナリザ素材ではないですが個人的には「知」と「作品3」がなんとなく良いです。

 図録に最後に書かれている今竹七郎の言葉「デザインと純粋芸術の世界をはっきり区別したがるのは日本だけ」という言葉に重さがあります。

 今竹七郎というデザインは見た事あるけど全体像を知らない作家を知れて良い展覧会でした。

 

 今回の展覧会、図録も凝っています。

 段ボールの箱付きです。

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 中身は普通に丁寧に作られた本です。

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 オマケに今竹七郎がデザインしたオーバンドの輪ゴムが貰えます〔先着数量限定だそうです〕。

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 価格は税込みで2500円でした。