「ルーブル美術館展・肖像芸術‐人は人をどう表現してきたか」を見てきた

ルーブル美術館展・肖像芸術‐人は人をどう表現してきたか」大阪市立美術館を10月7日に見に行ってきました。

www.ytv.co.jp

 東京に続いて大阪公開であります。

 東京公開の時にBS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」で解説があったので予習も出来ておりました。待ちに待った公開であります。

 

 今回の展覧会のポイントは「彫刻」だと思います。良い彫刻が多数、来日してます。

 

 では展示順に感想を書いていきます。

 最初に展示されているのはエジプト出土新王朝時代の「棺に由来するマスク」とエジプト・テーベ出土の「女性の肖像」です。

 第1章は「記憶のための肖像」。メソポタミアギリシャなどから出土した彫刻から19世紀の絵画彫刻までです。

 シリア・パルミア出土「女性の頭部」の彫刻は1〜2世紀に作られたとは思えないほどの出来映えです。さらに凄いのはイタリア・ピサネッラ出土「ボスコレアーレの至宝エンブレマ聖杯」〔紀元35-40年頃〕でしょう。銀の器を裏から叩き出しで人物像を作り上げているのですが叩き出しとは思えない精密さ、彫刻で彫り上げたような出来、顔の皺なんてどうやって作ったんだろうと思うほどの作品です。ヴェスヴォス山の噴火で地中に埋没したものが1895年に発見されたものらしいですが保存状態も素晴らしいです。

 

 第2章は「権力の顔」、こちらも古代から19世紀フランスまでの作品。

 「トガをまとったティベリウス帝の肖像」の服の皺の表現が素晴らしいです。服の表現と言えば「リシュリュー公爵ルイ・フランソワ・アルマン・デュ・プレシ」の服装の表現も素晴らしい。

 このコーナーの主役はナポレオンでしょう。何といってもクロード・ラメ作「戴冠式の正装のナポレオン1世」でしょう、まさか日本に本物が来るとは思いませんでした。とにかく立派であります、隅から隅まで良く出来てます、一見の価値あり。

 他にもアントワーヌ=ジャン・グロ「アルコレ橋のボナバルト」やアンヌ=ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾン「戴冠式の正装のナポレオン1世の肖像」そして「ナポレオン1世デスマスク」まで来日してます、さすがルーブル美術館ですね。

 セーヴル王立磁器製作所「フランス王妃マリー・アントワネットの胸像」も凄い、マリー・アントワネットの顔ってこんな感じだったのでしょうか?写真無いですからね、きつめの目つきの仕上げとなっています。

 ベラスケスの「スペイン王マリアナ・デ・アウストリアの肖像」、ジャン=アントワーヌ・ウードン「アビ・ア・ラ・フランセーヌをまとったヴォルテール」等々見所が多いコーナーです。

 

 第3章は「コードとモード」・・・肖像画と肖像彫刻が中心です。

 エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン「エカチェリーナ・ヴァシリェヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人」やジャック=エドム・デュモン「寡婦デュモンお人の肖像」も良いですが16世紀フランス東部の「守護聖人、司教、修道院長を伴う寄進者とその家族」の石灰岩浮き彫り彫刻の遠近法的な掘り方が面白いです。

 そしてフランツ・クサファー・メッサーシュミット「性格表現の頭像」のインパクトの強さ、一度見たら忘れられない表情になっていますね・・・1771-1783年に作られたとは思えない表現です。

 

 エピローグはアルチンボルトの「春」と「秋」になっています。

 

 見応えがある展覧会でしたね、ルーブルの底力を見た気がします。

 よくぞ色々貸し出してくれました、ありがとうございます。

 おまけ・同じ会場で行われていた「おおさかの仏教美術1」に展示されていた小さな仏様もいい顔をしてました。優しくておおらかで・・・良いです。

https://www.osaka-art-museum.jp/def_evt/buddhist-art1#cnt-2