「アリエナクナイ科学ノ教科書〜空想設定を読み解く31講」を読んで

 「アリエナクナイ科学ノ教科書〜空想設定を読み解く31講〜」くられ/薬理凶室/ソシム社を遅まきながら完読いたしました。

 出て割とすぐに購入したのですが「購入した順番に読む」と言う私の個人的ルールで今頃読むことになりました〔買った順に読まないと一生読まない本が出てきます〕。

 さて本体の感想を書きます。

 アニメやゲーム、映画等に出てくる「空想設定」は現在科学のレベルでどこまで現実化できるのか教えてくれる一冊となっております。

 と言っても難解なわけでも無く簡単すぎるわけでもなく適度なバランスとなっています。

 取り上げるテーマは大きく4つ「ヒトの空想を科学する」「脅威・怪異の空想を科学する」「テクノロジーの空想を科学する」「環境・設定の空想を科学する」に分けられています。細かくは「不老不死」「生命創造」「神」から「ネコミミ娘」「ゾンビ」「ヴァンパイア」まで多種多様です、どれもアニメやゲーム等のフィクションでよく出てくるモノばかりですね、出版された2017年で可能か不可能か?将来的には可能か?それ以前に定義を決めないと行けないものまで・・・「いろいろ考えたり調べたりすると楽しいぞ」と思わせてくれます。科学の入門書のきっかけにフィクションの世界を使う本は他にもありますけど、この本が一番入りやすいと私は思います。

 「爆弾」「毒物」「生物兵器」等々の現状と可能性をちゃんと書いてあるのもくられさん〔薬理凶室〕の本の特徴です、好き嫌いにかかわらず、これも科学の一面ですからね〔この手の事をあからさまに否定するよく判らない学者たちが一部におられるようですが・・・そういう人は無視しましょう〕。

 簡単に説明できないことは説明できないと書いてあるというのも良いです、例えば「量子コンピューター」の話とか、あれは本当に解らない・・・そもそも量子力学相対性理論より解りにくいと思うのは私だけか?大学で物理を専攻してちゃんと量子力学の単位で「優」をもらったんだが解らない〔単位は丸暗記で取った、あのくらい難しいとある程度の学生が単位を取れる問題パターンが決まっていて、それを覚えたら単位が取れたんだな〕。解らないことがあることを認識することは大事、後は理解するように努力すれば良い・・・最近、年を取って理解力と記憶力が減って大変なんです。無理して訳がわからない解説をされるより良いです。

 巻末の「悪魔の科学用語辞典」はお約束ですね、独断と偏見による用語選びと解説はお約束ですね。代表的なコミックや映画の選択はこんなものなのかな?私が偏っているので・・・私は長年オタクをやってるだけど、とても偏っているので世間と隙間が生じております。

 「解りやすくて読みやすい一冊でした」、これが一番わかりやすい感想。

 

 これを家で読んでいるときに仕事の行き帰りに読んでいたのが籐真千歳さんの「スワロウテイル」シリーズの第4作「スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの」、この作品に「アリエナクナイ科学ノ教科書」に出てくるテーマがいくつか〔例えば「ナノマシン」〕出てきて脳内でシンクロして面白かったです。

 

 さて私も「アリエナイ理科ノ教科書シリーズ」に参加しておりました。もうかなりの時間がたってしまいました、私が参加した「3」も絶版になるそうです。いまだにWikipediaの項目を見ると私の名前があるのに違和感があります〔2ページ半書いただけですからね〕そろそろ外してもらった方が良いかも・・・最近は参加してませんからね。今度、「アリエナイ理科ノ大辞典」が出版されるとのこと、楽しみにしております。