「犬の伊勢参り」仁科邦男

「犬の伊勢参り仁科邦男/平凡社新書

 「江戸時代の明和8年〔1771〕、犬が単独で伊勢参りを始めた」と聞いて信じる人がどれだけいるだろうか?この本はそれが事実かどうか検証するところからはじまります。調べてみると記録が出てくる出てくる、犬どころか豚や牛まで・・・。

 元々、伊勢神宮では色々な理由で犬は嫌われていたようですが〔殿上で吐いたり糞をしたり色々あったようです〕・・・ところが江戸になって「犬のお伊勢参り」が割と日常的になってしまった実態が書かれています。

 と言っても犬が自主的にお伊勢参りをしたわけではなくお伊勢参りにする人達について行き親切な旅行者や街道の人達のお世話になりながら伊勢にたどり着きお札等々をもらって帰り道も色々な人の世話になりつつ帰ったというのが真実のようです〔犬には「伊勢参り」の目印と手紙やお金がつけられていたようで、それを見た人が申し送るように連れて行ったようです〕

 この本を読んでると江戸時代の平和さの一面を感じられますね、お金やお札をぶら下げていても取られることが無かったと言うことですから〔江戸時代にも山ほど物騒な出来事はあるんですけど・・・「江戸の少年」氏家幹人等々参照〕

 とても知的好奇心を刺激する本でした。