「イギリス海軍の護衛空母‐船団護送に長けた商船改造の空母」瀬名堯彦/光人社NF文庫を読み終わりました。
先日「巨砲モニター艦‐設計・建造・運用19141945」を紹介しましたが
またイギリス海軍のマイナー艦船の本が登場しました。
イギリス海軍の空母なら「アークロイヤル」や「ハーミーズ」が有名ですが〔第二次大戦時の空母も戦後のV/STOL空母も〕大戦中の護衛空母も縁の下の力持ちとして大切な存在です。
でもイギリスの護衛空母“だけ”の本がたとえ文庫だとしても出版されるとは凄い時代になりました。
雑誌「丸」に連載していた物に加筆して一冊にまとめた本です。
内容は「空母戦術の確率と商船の航空機搭載」から始まりドイツ海軍の通商破壊戦に対抗したCAMカタパルト装備商船の出現と続きます〔商船からカタパルトで戦闘機を飛ばして船団護衛、でも商船には引き返せず基地に帰投〕。
「世界最初の護衛空母オーダーシティ」、護衛空母の元祖はイギリス海軍でした。
「アーチャー級」、イギリス海軍がアメリカに発注した最初の護衛空母群。
「アタッカー級」、アメリカ製護衛空母第2陣、C3−S−A1型貨物船からの改造です。
「ルーラー級」、アメリカ製護衛空母最終グループ。アメリカ海軍のボーグ級後期型に相当します。
「MAC商船空母」、穀物運搬船、タンカーを改装した商船空母群。豪華客船クイーン・エリザベスの改造計画もありましたが計画だけでした。
ここまでが本書の内容です。
掲載された全て空母の要目や行動について詳しく書かれています、ほぼ全ての艦の写真も掲載されてます〔文庫なのでモノクロですが〕。
イギリス護衛空母の基本データはほぼおさえられます。
この本で本当に驚く事はアメリカの生産能力の高さです。アメリカ海軍向けにあれだけ空母を作っているにもかかわらずイギリス向けにもこれだけ空母を作れるのですから〔アメリカからイギリス輸送時には飛行機も付いてくる〕。敵に回したくないですね。
イギリス海軍艦艇を知るための良書の一冊です。