「アリエナクナイ科学ノ教科書〜空想設定を読み解く31講〜」くられ著を購入した

「アリエナクナイ科学ノ教科書〜空想設定を読み解く31講〜」くられ/ソシム

 薬理凶室リーダー・くられさんの新作が発売になったので購入しました。

 今回は「アリエナイ」でなく「アリエナクナイ」科学の教科書であります。

 SFやアニメ・ゲーム・映画で登場する空想科学はどこまで実現するか?実現したか?最新科学の現実から解説します。

 不老不死・生命創造・神からネコミミ娘・吸血鬼・ステータス異常まで広い分野、普通の科学本なら取り上げないところを取り上げるのがくられさんの本です。テーマの選び方もらしいですね、夢ばかりでもないし悪夢ばかりでもない、毒気とユーモアも忘れない、萌でもない〔私は「萌え」好きですけどね。くられさんも昔、「もえたん」を編集された方ですけど〕

 自然科学の進歩は大変早いものです、物理に化学、生物、地学、医学、工学、ハードにソフト・・・これらの進歩を全て理解するのは大変、専門書を読み込むのも大変だしネットに書いてある事を探すのも大変、といってあんまり簡単に書いてある本も食い足りないです。

 そんな時にちょうど良い本だと思います・・・さて、これから読み込むぞ!

 自然科学全般にサブカルチャー〔コミックやアニメ、ゲームをサブカル扱いするのも時代遅れな気もしますが〕に詳しい人は居ても文章が書ける人は少ないですからね・・・私を含めて理系の人は文章書くのが苦手な人が多いですからね。

 

 さてさて、この私も「アリエナイ理科ノ教科書」シリーズの「2B」と「3C」に少しだけ関わった人間であります〔その後色々ありまして・・・以下略〕、普通の自然科学の本に無い世界観なんですよね・・・こういう、ある意味「毒気」が入っている本って良いと思います。この手の本が長く続いていくことが理系の人間を増やすことや自然科学の知識の増加の一助にならば素晴らしいことです。生真面目な本ばかりじゃなかなか寄りつきませんもの。

 今の日本のマスコミは文系ばかりで本当に理系の知識がある人が本当に少ない、理系と言って出てくるのは医者と気象予報士ぐらいですかね・・・医者は賢いけど医学は自然科学のほん一分野、気象予報も同じ。おかげで日本人がノーベル物理学賞や化学賞を取った時の報道の酷いこと〔医学生理学賞は医者が解説するから何とかなってるけど〕。原発事故の後も〔以下略・・・〕。マスコミの知識がないのは自然科学だけじゃない、と毒づきたくなります

 

 追記・「ネコミミ娘」の作品に「ゲゲゲの鬼太郎〔の猫娘〕」が入ってるけど、猫娘の耳って尖ってるだけで今のネコミミとはちょっと違う気が・・・ここは元祖ネコミミ綿の国星大島弓子かと・・・と細かい点を書いてみる〔嫌な性格〕

「現代語裏辞典」筒井康隆/文春文庫を読んで

「現代語裏辞典」筒井康隆/文春文庫

 とんでもない本であります。

 「愛」から「ワンルームマンション」まで約1万2000語を収録です。

 ピアスの「悪魔の辞典」が子供レベルに思える収録語彙の多さ、全てに注釈を付けるなんて天才・筒井康隆でないと出来ない荒技です。文庫で上下二段組み600ページ以上ですから読み応えたっぷりであります〔ありすぎの感あり〕。

 よくこれだけ色々な皮肉を入れられるものだと感心します・・・本当に凄い。

 ずっと活躍されている筒井康隆氏、才能が涸れることが無い・・・それが天才というものですか、凡人には出来ないことであります。

「裸はいつから恥ずかしくなったか‐「裸体」の日本近代史」中野明

 江戸末期、日本に訪れた多くの西欧人や江戸時代に訪れた朝鮮通信使が驚いたことがあります、それは日本人が裸をさらすことを何とも思ってなかったことです。

 本書は一枚の記録画「下田の公衆浴場」(1854年)の考察から始まります。「ペリー艦隊日本遠征記」に載っている絵でドイツ人画家ヴィルヘルム・ハイネが描いた絵です。この絵の公衆浴場では男女混浴です・・・はたして、この絵は正しい当時の日本を描いたものでしょうか?正しく描かれていたとしても混浴は下田地方限定の風習だったのでしょうか?・・・この絵の周辺を探るところから当時の日本の「裸体感」を探ります。

 当時の日本では裸体をさらすことは、それほど恥ずかしいことではありませんでした。暑いときなどは褌一丁で働く多くの人がいました、女性も腰巻きだけで上半身をさらすことも珍しくありませんでした・・・裸はそれほど恥ずかしいことではなく顔を出すこととさほど変わりない行為だっのです、顔を見るときと一緒でちらりと見る分には問題ないけど凝視することは失礼に当たるというのが当時の感覚でした。

〔今でも見ず知らずの人の顔を凝視するのは良くないことですね〕

 ところが明治に入って数年で環境はすっかり変わってしまいます、「外国を見習え、外国に恥ずかしくないようにしろ」という訳で一気に裸体は「恥ずかしい」ものになってしまいます。明治半ばには裸体画の公開問題まで起こる事態に・・・江戸末期から明治中盤までの裸体感の変化は驚くばかりです。

 日本人の性的関心と羞恥心の変化を辿る良書であります。

 追記・そう言えば昭和時代にはゴールデンタイムに普通に女性のおっぱい露出シーンがあったのに平成に入ってすっかり無くなりました、でもネットの世界に入れば24時間全裸見放題という複雑な構造になってしまいました、これは一概に良いとも悪いとも言えない複雑な事態と思います。

「八画文化会館Vol.5駅前文化遺産」

「八画文化会館Vol.5駅前文化遺産」八画出版社

 2年半振りの新刊であります。「ワンダーJAPAN」の新刊が出ていない現在〔「ラジオライフ」での連載はありますが・・・〕となっては珍建築・珍物件好きには嬉しい一冊であります。

 特集は「駅前文化遺産」・・・地方都市の駅前にある商店街や駅ビル、ステーションデパート、バスセンターです。地方都市の衰退がそのまま現れか、昭和のまま時間が止まったか・・・何となく哀しい空気が漂っております、でも懐かしさもあります。

 「駅前旅行の手引き」も良い記事ですが二色印刷が少し見づらいのが残念、かえって白黒の方が良かったかも。

 「ミステリーパトロール」も濃い物件が多い、「ローカル三行はみだし情報」も濃い短い一文で記事一本書けるぐらい濃い、もったい無い気も・・・。

 今号も読み応え満点でした・・・次は6月に出るそうで・・・期待しております。

 

 ネットで昨年12月に発売になったと知っていたんですが大型書店にもAmazonにも無くてオンライン出版で頼もうと思ったらジュンク堂で見つけて購入。次号も無事購入出来ることを期待。

「第一次世界大戦史‐風刺画とともに見る指導者たち」飯倉章/中公新書を読んで

 第一次世界大戦を分かりやすく理解するのに良い一冊。

 人間を中心として大戦の流れを時系列で解説しています。日本語で簡単に読める第一次大戦の本は少ないので助かります。

 第一次大戦は20世紀以降の世界情勢や軍事に大きな影響を与えたのにかかわらず日本がほとんど参加しなかったため〔青島攻略は有名ですが日本海軍は地中海に船団護衛に艦艇を派遣しています〕あまり重要視されていません、世界史の授業でもここまでたどり着かないことも多いです。

 最近になってNHKの「映像の20世紀」でまるまる1回使って放送され認識が高まったのですが実際調べようとすると通史すらあまりありません〔高価な専門書ならありますが〕。そんな時にこの本は判りやすくて手頃で良いです。

 サブタイトルに出ている風刺画については新書というサイズの都合上どうしても小さくなっているのが残念です。

 

 第一次大戦は軍事的も革新的な戦争でした。航空機・戦車・潜水艦・毒ガスは第一次大戦で初めて本格的に使用された兵器です。でも日本語の当時の資料は少なくて私の好きな航空機で言うと第一次大戦の航空機の日本語本は10冊も出ていないと思います。「世界の傑作機」でも1冊も出ていません〔「世界の傑作機」にあたる「In Action」シリーズだと10冊は出ていますし「WINDSOCK DATAFILE」という第一次大戦専門のシリーズが出ているくらいです〔200冊近く出てます〕〕

 学研の「図説 第一次世界大戦」上下巻とイカロス出版の「戦乙女のWWⅠ兵器教室」「戦乙女のWWⅠ戦史教室」ぐらいが入手しやすくて判りやすい本ですからね〔「戦乙女」シリーズは萌えミリタリー系ですが内容がしっかりしていて良い本です〕

 

 「風刺画」に期待を大きく持たない限り良書であります。

「特別展古代ギリシャ 時空を越えた旅」神戸市立博物館

 今年最初の美術展めぐり。

www.greece2016-17.jp

 世界史の最初の方に出てくる物が色々見られます。

 「陶片追放」で実際に使われた「陶片」や「未解読文字」の代表でもある「線文字A」が展示されています。

 古代ギリシャですから、ほとんどの物が紀元前と考えると凄いですね・・・日本は縄文から弥生時代の話ですから。

 彫刻や陶器の彩色も綺麗です、大理石の女性の頭部像は前衛美術で見たことのあるよな気が・・・そこまで進んでたんですね。

 古代オリンピックに関する遺物も豊富・・・円盤投げが人気あったようで遺物が多数です。

 展示品が多くて面白い特別展でした。

昭和40年男2017年2月号特集「俺たちのSF」を読んで

 今月号の第1特集は「俺たちのSF」

 子供の頃に見たSF多数。

 「サンダーバード」「マジンガーZ〔搭乗型ロボットの登場〕」「宇宙戦艦ヤマト」「スター・ウォーズ」「SFマンガ」「ミクロマン」について詳しく解説。

 インタビューは「氷川竜介」「大森望」「村山実」。

 私が最初に影響を受けたのは「サンダーバード」だったかと、次に「マジンガーZ」「ヤマト」「スター・ウォーズ」という順番ですね・・・「SFマンガ」はあんまり読んでなかったですね、萩尾望都竹宮恵子聖悠紀も読んでなかった〔名前は知っていたけど〕、SFラブコメの「うる星やつら」は読んでましたけど。

 「サンダーバード」は本当に子供の頃に見てましたね、最初に買ったプラモデルが「サンダーバード2号」だったと思います。

 「スター・ウォーズ」の最初の作品は中学でした・・・ネットのない時代なのにあちこちから情報が入ってきてわくわくしながら公開を待ってました、期待通りの良い作品でしたね・・・本文ではSFXを中心に詳しく書いてありました。

 少し残念なのは「未知との遭遇」の紹介がほんの片隅だったこと、「未知との遭遇」も衝撃的でした。

 読み応えありの特集。

 

 第二特集は「昭和60年」・・・「日航機墜落事故」「青函トンネル貫通」「豊田商事事件」など多くの出来事がありました、私にとって一番印象的だったのは阪神タイガースの優勝ですね、生まれて初めて見ましたから。

 記事では「TO-Y」「ブルース・スプリングスディーン初来日」「泡状整髪料」「ルック」この辺の出来事はあんまり興味が当時から無くて・・・一番関心があったのは「馬場・全日本の逆襲」ですね。

 新日から長州率いる維新軍を引き抜き豪華外国人を呼んでゴールデンタイム放映したのに視聴率が今ひとつ〔裏番組が「ひょうきん族」「加トちゃんケンちゃん」〕、試合的にも長州の対外国人の弱さが出たり鶴田vs長州がテレビ的には盛り上がらなかったり〔プロレス好きには面白かったけど・・・鶴田の底力を見た気がした〕。

 そこで輪島をデビューさせたんだけど視聴率が上がったのは最初だけ、やっぱり「引退した横綱」じゃ駄目だった・・・

 だからといって全日が駄目になった訳じゃなくテレビ受けより会場に来てくれる人受け中心に・・・ロード・ウォーリアーズも凄かったし天龍革命も面白かった二代目タイガーマスクも活躍した・・・維新軍が分裂して長州達が新日帰還、私の好きなキラー・カーンが引退、谷津が残ったり、SWSが選手を大量に引き抜いたり・・・色々あったけど武道館はいつも満員だった〔それに比べて今の全日本やノアを見ると悲しい〕馬場の方針転換は結果的に成功しました。・・・この雑誌はほとんど毎号、プロレスの記事が載っているので嬉しい限り。

 

 「HOBBY ROAD」第5回「風物詩シリーズ」が懐かしすぎます、子供の頃に作って飾ってました。

 

 「昭和40年男のための健康講座」は「尿から届く不吉な知らせ」と言うことで膀胱癌や前立腺癌について・・・「血尿に気をつけよ」たしかに癌の知らせであることも多いですけど他にも怖い病気があるのにあまり触れてないのが気になります・・・それは結石〔腎臓・尿管・膀胱〕であります、ほとんど死ぬことは無いんですけど〔詰まって尿が出なくなったら危険です〕死ぬほど痛いです、七転八倒するぐらい痛いです〔モルヒネを注射して痛みを止めることがあるくらいです・・・これより痛いのは末期癌と脳腫瘍ぐらいと聞いたこともあります〕・・・ここはちゃんと書いておいて欲しかったです。

 

 他にも色々な記事があって読み応えありでした。お腹いっぱいです。ありがとうございました。