「片手袋研究入門」石井公二著/実業之日本社刊を読み終わった

「片手袋研究入門‐小さな落としものから読み解く都市と人」石井公二著/実業之日本社刊を読み終わったので感想を書きたいと思います。

 路上観察の新顔の登場です。道路にときどき落ちている片手袋に注目して路上観察する石井公二さんの著作です。

 最初に「誓い」と「ルール」です。基本宣言です。

 続いて「片手袋」の分類について。

 「目的で分ける」・・・何に使う手袋か?軽作業・重作業・ファッション・防寒等々 

 続いて「過程で分ける」・・・放置されているか誰かの手が介入されたかの分類。

 最後に「状況・場所で分ける」・・・どこに落ちていたか〔置かれているか〕の分類。

 これらの3段階について詳しい解説が写真付きで紹介されています。

 第2章は「片手袋の現場」、築地に行ったり拾得物センターに行ったり深海での片手袋〔海洋ゴミ〕の現実を見たりします。

 第3章は「創作物の中の片手袋」。絵本やコミック、映画、アニメの中の片手袋を紹介、よく調べてあります。

最終章は「片方とは何だろうか?」まとめと片手袋の再定義となっております。

 大変面白い1冊でした。「路上に落ちている片手袋」というものに目を付けたところで作者の勝利は確定したようなものです。路上観察は何に目を付けるかが勝負ですから、後は地道な積み重ねであります。今後の観察にも期待です。