「ライト兄弟‐イノベーション・マインドの力」デヴィッド・マカルー著を読んだ

ライト兄弟イノベーション・マインドの力」デヴィッド・マカルー著/秋山勝訳/草思社文庫を読み終わりましたので感想を書きます。 

 ライト兄弟と言えば世界で初めて動力飛行を成功させた二人として有名です。その二人についての伝記ですが今までの伝記と違います。その違いについて書きたいと思います。

 一つ目として他の家族の存在です。ライト兄弟は二人だけでなく5人、ウィルバーとオーヴィルの上に兄が二人〔ルクランとローリン〕、末っ子は妹でキャサリン。影響を大きく与えたのは父のミルトン・ライト牧師と妹のキャサリンです。考え方に影響を与えたのが父ミルトン、実際に色々と協力したのが妹キャサリンです、このあたりに触れている本は少ないです。

 二つ目としては初飛行以降の話、初飛行までの苦労は割と語られますが、その後のライト兄弟について書かれている本も少ないですが、この本ではたっぷりと語られています。アメリカ国内でもヨーロッパでも信用されなかった事・・・アメリカでは巨費を投じたラングレーの飛行実験がことごとく失敗していて町の自転車屋さんが動力飛行に成功したとは信じられなかったようです、情報がさらに伝わらなかったヨーロッパではなおさらの事。ウィルバーは自らの飛行機の販売を兼ねてヨーロッパへ・・・最初は色々トラブルがありましたが実際飛ぶところを見せたらヨーロッパは大熱狂となりました、論より証拠ですね。熱狂があってもマイペースを守るのがライト兄弟・・・アメリカでも公開飛行に成功して名声は上がります〔欧米の否定派も目の前で見せつけられたら納得せざるを得ません〕。

 本を読むと判りますがライト兄弟って本当に生真面目ですね、そうでなければ人類初の動力飛行は無理だったのかも、そんな点も良く判ります。

 本文500ページ弱〔写真頁含まず〕の大著ですが読み始めてリズムに乗ればサクサクと読める本です〔最初、リズムがつかみにくいかも〕。

 航空史に興味がある人にはお薦めの1冊です。