劉慈欣「円」を読む

 劉慈欣「回」を読んだので感想を書きたいと思います。

 「円」は「三体」でヒューゴー賞を獲得した話題の中国のSF作家・劉慈禁の短編小説であり「三体」の一部で単独でも読める作品にしたものです。

 ハヤカワSF「折りたたみ北京‐現代中国SFアンソロジー」に収録されている作品です。

  「円」の作品の舞台は中国の戦国時代、主役は荊軻、秦の政王〔後の始皇帝〕に使える。

 同じく政王に仕える徐福は不老不死の薬を求めて行方不明になった。

 政王は荊軻に問う「そなたは、どこからそんな発想が出て来るのか」

 荊軻は答える「天の理にしたがえば、為せぬことはありません」

 「天の声とは」「数学でございます」

 「円」が大事という荊軻、そのためには円周率の桁数を上げるのが必要だと言う。

 これを聞いた政王は2年で1万桁を、5年で10万桁をと・・・最初は「無理だと」という荊軻、しかしある方法を思いつく。

 「人間演算回路」、3人一組で論理和、否定論理積、否定論理和排他的論理和、否定排他的論理和、三状態を、2人一組で否定門を作り上げる。訓練を重ね300万人の兵を集めて計算を開始するが・・・と言うお話。

 発想が素晴らしい。人間演算回路って発想が斬新すぎます。

 これが「三体」の一部なんですか・・・全体はどんなんだろう?ワクワクしてくる。

 3部作の大著でまだ文庫本が出て無くてハードカバーのみなので買ってなかったのだが購入を真剣に考えないと駄目みたいですね〔予算と置き場の問題があるが〕。

 このアンソロジーに乗っている劉慈欣のもう一つの作品「神様の介護係」も「円」とはまったく別の発想の作品だが面白い。

 

 さて、この「折りたたみ北京」には他の作家の作品も多数掲載されていて面白い作品を多い。中国のSFと言えばケン・リュー氏の短編集「紙の動物園」しか読んでなかったが本格的に色々読まないと駄目みたいですね。

 また読まないといけない本が増えるという嬉しい悩みですね。