「世にも危険な医療の世界史」を読み終わった

 「世にも危険な医療の世界史」リディア・ケイン、ネイト・ピーダーセン著/福井久美子訳/文藝春秋社刊を読み終わりましたので感想を書きます。

 

世にも危険な医療の世界史
 

  買って1年ほどたつのですが新型コロナウイルスが流行している時期に読む事になってしまいました〔買った順番に読んでいます・・・ストックが1年分ぐらいあります〕。

 ある意味、恐ろしい本です。

 人間の負の歴史ですね、前向きな言い方をすれば試行錯誤の歴史です〔犠牲は多かった〕。

 本文は使われた物質や装置などを大きく5つに分けられています。「元素」「植物と土」「器具」「動物」「神秘的な力」、それに追加して「トンデモ医療」のコラムが6編掲載されています。

 「元素」では水銀・アンチモンヒ素・金・ラジウムラドン〔金以外は怪しさが漂いますね〕。

 「植物と土」ではアヘン、ストリキニーネ、タバコ、コカイン、アルコール、土〔中毒性が高い物多し〕。

 「器具」では瀉血ロボトミー、焼灼法、浣腸、水治療法、外科手術、麻酔〔瀉血ロボトミー、焼灼法が怖すぎます〕。

 「動物」ではヒル、食人、動物の身体、セックス、断食〔使い方によっては・・・〕。

 「神秘的な力」では電気、動物磁気、光、ラジオニクス、ローヤルタッチ〔オカルト成分多し〕。

 「トンデモ医療」では女性の健康法、解毒剤、男性の健康法、ダイエット、目の健康法、癌治療についてのコラムです。

 読んでるとどれもこれも危険な医療なのですが・・・真剣に治療をしようとして試行錯誤している物と一儲けしようと企む悪い物の両方があります。常識で考えても悪そうな瀉血モーツアルトは2リットル抜かれて病状悪化→死亡〕も真面目に信頼されていた時代があります。

 「危険な医療の歴史」は医学の歴史の一部なのです。ここを避けて通る訳にはいかないのですね。

 そんな難しい事を考えなくても読むと色々な歴史の事実やエピソードを知る事が出来る一冊です〔アジアの医学についてはほとんど載っていないのは少し残念〕。

 

 現在、世界は新型コロナウイルスで大変な事になっています。

 私も会社から自宅待機を命じられて出勤したりしなかったりの日々です〔工場で物作りをしている人間なので自宅勤務は出来ません、装置を触らないと仕事になりませんからね〕。

 まだ治療法が確立していない新型コロナウイルス、何十年かして振り返れば「あの時、こんな変な治療法してたんだよ」と言われる事になるかも知れません、それを知るためには生き残るしかないのですね。

 いまでも、トンデモ治療法のデマが流れる事があります。少し前にHIVが流行りだしたときに「肛門に直射日光を当てれば治る」というのがあったんですが〔確か1980〜90年代だった・・・記事が見つけられなかった〕最近になってまた出てきています。

www.gohongi-clinic.com

 この場合、害は無さそうなんですが効果もありません。害のないトンデモ医療なら良いのですが現実には害のあるトンデモ医療が流布される事があります・・・気をつけましょう。