「エロマンガ表現史」稀見理都著を読んだ

 「エロマンガ表現史」稀見理都著/太田出版を読みました。

 

 

エロマンガ表現史

エロマンガ表現史

 

 

 凄いマンガ表現論研究書であります。

 エロマンガの表現そして、その影響を受けたマンガの表現について調べ上げた本です。「エロマンガの表現」について、ここまで調べた本は他には無いと思う。

 エロマンガの表現の幾つかのテーマを中心に本の内容は進みます。

 「おっぱい表現」「乳首残像〔この言葉自体、斬新〕」「触手の発明」「断面図の進化史」「アヘ顔の系譜」「くぱぁ、らめぇの音響史」「規制修正の苦闘史」「海外への伝播」「その他の表現」と進んでいきます。

 このテーマを見ただけでワクワクするのは私だけじゃないでしょう。

 インタビューも石恵、奥浩哉うたたねひろゆき前田俊夫、ジョン・K・ペー太、新堂エル〔敬称略〕と盛りだくさん。

 図版も、とにかく多数。よく版権許可が取れたものだと感心するレベルです。

 読んでいて知らないことばかり〔知ってたことばかりだったら、それはそれで大変だが〕。

 「巨乳」という言葉が80年代後半になってから普及した言葉と言うことだったり〔そう言えば昔は「ボイン」と言ってましたよね、朝丘雪路の胸を大橋巨泉が見ていったのが「ボイン」の始まりと記憶しています、Wikiで調べたらその通りだった〕。

 葛飾北斎以前にタコが快楽目的で女性を襲う春画があったこと〔本筋とはあまり関係ないことだが〕。同じく断面図が春画にあったことも・・・。

 「らめぇ」の元祖探りも面白いし、海外への普及も興味深い。

 後、面白いのは一般マンガへの普及で必ずのように『ToLOVEるダークネス』が出てくること、あれは一般マンガの表現限界への挑戦作品として捉えられますね。

 

 とにかく内容が濃い、深い。

 第二弾も期待したい〔大変だと思いますが・・・〕。

 

 永山薫著/ちくま文庫「増補エロマンガ・スタディーズ」と共に読むとさらにエロマンガの歴史と表現の理解が進むと思います。 

  他にも「らめぇ」の関連本として永田守弘編著/河出文庫オノマトペは面白い」もお薦めです。