「日本のメイドカルチャー史」を読んだ

「日本のメイドカルチャー史」久我真樹/星海社/上下2巻を読み終わりました。

 とんでもない本です。

 もう一度書きます。

 とんでもない本です。

 本の帯に「これぞ愛と狂気に満ちた驚きのメイド研究の成果」とありますが、それを超越しております。

 上巻312ページ、定価2700円

 下巻496ページ、定価3780円

 上下800ページにぎっしり詰め込まれた情報と解析、執筆に6年かかったのも納得。

 メイドブームの前景、メイドブームを5期に分類、そして日常への定着と章分け。

 メイドブームの基礎は児童文学とアニメ「世界名作劇場」シリーズ、少女漫画と作者は作り上げたと唱えます。一部不満を感じることがあったのですが、それは第7章の「ブームから日常へ」がほとんど解決してくれます〔私の場合は、ちょっと違う理由でメイドという言葉に子どもの頃から触れる機会があったのですが、それは後で書きたいと思います〕。

 第2章は第1期メイドブーム1990年代「メイドさん」の再発見と「屋敷」からの解放・・・アダルトゲームの影響が大きいと・・・。

 第2章は第2期メイドブーム1990年代制服・コスプレブームの中のメイド服・・・コスプレ、アンナミラーズ、制服ブーム、Piaキャロットへようこそ!!2が重要な役割を果たしていると・・・この時期は私はオタク界から離れてますからね。

 第4章は第3期メイドブーム2000年代前半「日本のメイドさん」の確率・・・メイドが主役に、戦わないアンドロイドとしてのメイド〔ToHeartのマルチ、HAND MAID メイこはるびより〕、日常生活のメイドさん藍より青し、スーパーメイドみちるさん、これが私のご主人様等〕、1990年代からの少女漫画とメイド、かわいいメイド服のデザイン〔東京ミュウミュウココロ図書館〕、介錯作品、英国メイドの確率〔大本命シャーリーとエマ〕

 第5章〔ここから下巻〕は第4期メイドブーム2000年代メイド喫茶の時代・・・コスプレ店員からメイド喫茶へ、ここではメイド喫茶を多角的に解析。経済から心理学的要員まで〔「恥ずかしさの共有」〕。

 第6章は第5期メイドブーム2006年以降「メイドイメージの多様化と進化」・・・ここはコミックを中心とした各種作品に言及、「家政婦」についても言及。

 第7章は「ブームから日常へ‐日本のメイドカルチャー」・・・メイドの日常化、ロリータファッション・ゴス文化との関連〔澁澤龍彦まで出てくるとは〕、海外ドラマ、メイドイメージの文脈で見る高橋留美子作品〔エプロンドレスがよく出てくる〕、スタジオジブリとの関連〔「名探偵ホームズ」のハドソン夫人・・・ここでもエプロンドレス〕。

 と内容を書いてきましたけど、とにかく「濃い」、中身が充実しすぎています。私もメイドさん属性で色々作品を見たりしてきましたが、足下にも及びません〔こんな事を書くこともおこがましいレベル〕。

 日本の戦後文化を語る重要な1冊として記憶されるべき作品であります。

 こんな本、何年かに1冊しか出てきませんよ。

 私の下手な感想より実物を手に取ってください!。

 

 さてさて、私と「メイド」という言葉について、あれこれ書きたいと思います。

 私は「メイド」という言葉を聞いて違和感がほとんどありませんでした。

 アニメ好きですが「世界名作劇場」って見たことがほとんどありません。作品の原作である児童文学も読んでません、子どもの頃は図鑑と漫画しか読んでません。

 でも違和感なし。

 私の家にはメイドがいました、私の生まれる遙か昔、戦前の話であります。

 母方の祖父は繊維会社のエリート社員で海外勤務も多かったそうです、上海の日本人租界にも住んでいました、その時には祖母や母の姉の叔母は一緒に住んでいました〔母は生まれてませんが、叔母は小さいながら記憶が残っています〕。

 その祖母や叔母が上海時代の話をするときに「中国人のメイドが・・・」とよく言っていたのを小さい頃から聞いていました〔祖母はなくなりましたが叔母は元気です〕。おかげで「メイド」という言葉に違和感無しです。不思議なことに日本にいるときにもお手伝いさんがいたそうですが、この人のことは「お手伝いさん」と言っているんですよね、不思議なことに・・・一回何故か聞いてみよう。

 もう一つ、子どもの頃に見た「コメットさん」のイメージが強いですね。コメットさんは「お手伝いさん」ですが子どもの頃に「あんな綺麗で明るくて歌が上手なお手伝いさんがいて良いなぁ〜」と思ったものです〔ちなみに九重佑三子さんの初代コメットさんです、大場久美子さんは歌が・・・以下略〕

 思い出はここまでです。

 

 追記〔2月11日〕・そう言えば一時期、関西にある某メイド喫茶によく行っていました。

 マスコミで話題になるようなメイド喫茶でなく落ち着いた雰囲気のメイド喫茶店でした、よくあると聞くイベント等もないメイド喫茶

 普通の喫茶店との違いは、メイド服を着ていること、「いらっしゃいませ」ではなく「お帰りなさいませ、ご主人様」、「ありがとうございました」ではなく「行ってらっしゃいませ、ご主人様」ぐらいですね。

 私はメイド喫茶の近くにある本屋などで買い物をした後、メイド喫茶で休養、購入品の確認、読書というのが流れ。特に購入したての「メイドもの」の本を読むことは至高の楽しみ〔「エマ」の新刊は特に〕。

 メイドさんの中に長身・黒髪ロングヘア・巨乳・眼鏡・ドジっ娘というとんでもないスペックの方がおられて見て目の保養をしたものです〔私は巨乳派ではありませんが〕。

 オーナーさんの都合とやらで数年で閉店してしまってとても残念だったのですが、今となっては良い思い出であります。