「ものと人間の文化史〔177〕歯」を読んだ

 「ものと人間の文化史〔177〕歯」大野粛英/法政大学出版局を読み終わりました。

 一冊〔上下・上中下に分かれることもあり〕で一つのテーマについて文化史的に解説する本。

 今回のテーマは「歯」であります。

 170冊以上出ているこのシリーズですが人体の臓器がテーマになったのは初だと思います。

 内容は

 第一章「歯が痛い」・・・歯痛治療法の歴史、縄文時代から江戸まで、加持祈祷から民間薬・漢方薬まで。

 第二章「歯を抜く」・・・抜歯について。古代人の通過儀礼のための抜歯、昔の歯の抜き方、明治になってからの西洋医学の導入による抜歯など。

 第三章「お歯黒する」・・・日本の古い風習である「お歯黒」について。起源の諸説から江戸時代、そして明治の禁令まで。

 第四章「歯をみがく」・・・歯磨きのルーツから房楊枝や歯磨き粉の歴史。

 第五章「入れ歯をつくる」・・・世界と日本の比較、精密に作られていた日本式入れ歯〔柘植の木製〕、入れ歯師、入れ歯を使った江戸有名人〔井原西鶴本居宣長など〕。

 第六章「発展する歯科医学」・・・明治からの西洋史科学の導入と歯科治療の発展について。

 第五章「入れ歯をつくる」に一番力点が置かれて書かれている気がします、江戸の入れ歯の技術の高さに関心。第四章の「お歯黒」も興味深い、西洋人には凄く嫌われていたようで・・・そりゃそうですよね現在日本人も嫌うでしょう〔私は嫌いです〕。

 大変読みやすく図版も多いので知的に楽しい一冊です。

 

 「ものと人間の文化史」シリーズを久しぶりに読みました、前に読んだのが74巻「蛸」ですからね、20年振りぐらいでしょうか。欲しいテーマの本はたくさんあったのですが予算の都合等々あり最近まで買えませんでした。最近、チェーン店でない古書店やネットで割と安く出てたりしたら買ってますし新刊で「醤油」も買っております。

 ジュンク堂茶屋町店に行くとずらりと並んでいて端から順番に欲しいのですが・・・なかなか買えませんよね

 あと初期の巻が出だしたのが1960年代後半ですからね新版が欲しいテーマもあります〔フォントも古くて読みづらいというのも・・・〕。

 今後も注目のシリーズであります。