「プラド美術館展」を観てきた・その2

ta283.hatenablog.com

の続きです。

 前回、紹介できなかった絵についてです。

 「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」ディエゴ・ベラスケス・・・王太子カルロスが5〜6歳の馬上の姿、ベラスケスの名作の一つであります。幼いながらも指揮棒を手にして馬を乗りこなしております。鑑賞者が見上げる位置に掲げる事を計算して馬の胴体を太めにするなどの工夫がしてあります。いかにも良い血族の「おぼっちゃま」の言う感じが良く出ています。しかし図録によるとバルタサール・カルロスは16歳の若さで亡くなられたそうです。

 「視覚と嗅覚」ヤン・ブリューゲル〔父〕、ヘンドリク・ファン・バーレン、ヘラルト・セーヘルスら・・・合作です。画面いっぱいに額装された絵画とテーブルを囲む女性と天使〔子供?〕が描かれています。美術館かコレクション置き場か、それにしては女性と子供・・・寓意画なんだろうけど・・・博物学を寓意的に表したらこんな感じになるのかな・・・よく判らないけど気になる絵です。

 「巨大な男性頭部」ビセンテ・カルドゥーチェに帰属・・・246×205cmのキャンバスに男性の巨大な頭部の絵。「王妃の間」を守るために掲げられていて門番の代わりになっていたと言います。確かに少し横目で睨みつける眼差しはインパクト大ですね、とにかく迫力があります。

 「音楽にくつろぐヴィーナス」ティッィアーノ・ヴォチェッリオ・・・有名な女性裸体画の一つであります。女神として理想化されているわけでも神格化されているわけでもなく「人間の女性」のようにヴィーナスが描かれています。その上、ヴィーナスである事を示す伝統的な事物も無しです。オルガンを弾く男性がヴィーナスを覗き込む姿がなんとも言えません。

 「犬と肉の寓話」パウロ・デ・フォス・・・イソップ寓話からの作品。肉をくわえた犬が橋を渡っていると水面に映った自分の姿を他の犬と勘違いをし肉を奪おうとして口を開けたら肉を水面に落としてしまったというエピーソードを絵画化しています。肉を落とした犬の驚いたよう表情が良いです。

 

 今回の展覧会は図録が2種類出ています。

 公式図録2700円とミニ図録1300円です。公式図録は大判で各絵画の詳しい解説付き。ミニ図録は展示全作品が掲載されていますが解説は簡単なもの、大きさも文庫の1.5倍ぐらいですね。今回、私はミニ図録を買いました・・・大判を買うと置く場所に困るんですよね、結構買ってますから、最近はわほどのお気に入りがない限り図録は買わないようにしております・・・今回は微妙なのでミニ図録にしました。

 でも一級の油絵が揃っている展覧会なので良い展覧会でした。