「犬たちの明治維新‐ポチの誕生」を読んで

「犬たちの明治維新‐ポチの誕生」仁科邦男/草思社文庫を読み終わりました。

 作者の仁科邦男さんは平凡社新書「犬の伊勢参り」の作者さんです。

 江戸の終わりから明治までの日本における「犬」の話の集大成となっております。

 第一章では開国当初の日本の犬の様子を日本に来た外国人の書き残した文章からまとめております。ペリーにプチャーチン、ハリス、オールコックと幕末有名人と随行者の書き残した文書によれば日本には飼犬はほとんどいなくて町犬として存在して町や村単位で面倒を見られていて主な仕事は番犬と子供の相手というのが当時の実態でした。英国公使オールコックと愛犬トビーの関係は興味深いです。

 第二章では横浜開港時の犬事情、第三章は犬と明治維新の関係となっています。明治になってやっと天皇が犬が飼えるようになりました、明治の人は洋犬に「カメ」と名付けたことが多かった話も面白いです。

 第四章では西郷隆盛と犬の関係、西南戦争の時に何故犬を連れて行ったか?西郷さんの銅像の犬のお話もあります。

 第五章「ポチの誕生」は「なぜ犬はポチと名付けられるようになったか」の解明、そういうことだったかと納得〔ネタバレになるから理由は書きません〕

 第六章「薩摩の犬のその後」・・・薩摩の犬の悲しい歴史が書かれています。

 

 本当に多くの文献を調べて書き上げられた作品で知的好奇心を刺激される作品です。