「怖い絵展」兵庫県立美術館を見に行った

 「怖い絵展」兵庫県立美術館を8月10日に見に行ってきたので感想を書いておきます。

www.artm.pref.hyogo.jp

 お盆休み最初の祝日だったので大変混雑していました。この美術館で切符を買う行列があれほど長かったのは初めてです〔私は友の会に入っていて年間パスを持っているので並ばずに入りました〕。

 中も大盛況でありました。

 この展覧会は中野京子さん著「怖い絵」シリーズが刊行されて10年を記念して開催されています。

 「怖い絵」といってもいろいろありまして一見しただけで「怖い絵」もあれば描かれた背景を聞いて初めて怖いと感じる絵もあります。今回の展覧会では「一見して怖い絵」例えば浮世絵の「残酷画」や「地獄絵」みたいな作品は少ないですね。「怖い」というより「おどろおどろしい」「不気味」の方が強い絵が多いと思います。

 この展覧会での「怖い絵」といえば「描かれた背景」などを知ってみると「怖い絵」が多いです。解説がないと何が「怖い」か判らない絵もあります〔音声ガイドを借りれば良かったかな、普段から借りないもので・・・絵の横の簡単な解説じゃ判りにくいかも、家に帰って図録を読んで確認しました〕。

 展示の最初は「神話と聖書」・・・キリスト教や西欧の神話を知ってないと判りづらいかも〔私も詳しくない〕、さすがにセイレーンの伝説は知っているので判りやすい

〔とても綺麗な絵です〕。「ソロモンの判決」は「大岡裁き」の残酷版〔こっちの方が古い〕。

 第2章は「悪魔、地獄、怪物」・・・ビアズリーの「サロメのための挿絵」は興味深い。

 第3章は「異界と幻想」・・・ムンクの「マドンナ」が展示されています。ルドンの「エドガー・ポーに」は不気味。

 第4章は「現実」・・・フイクションよりノンフィクションの方が「怖い」のはお約束、実際に起こったことですから・・・「娼婦」「死刑」「戦争」「殺人」などがテーマ。セザンヌの「殺人」が珍しい。シッカートの「切り裂きジャックの寝室」が展示されている、この作者シッカートは切り裂きジャックの正体として今もっとも有力視されている人ですからね〔P・コーンウェルが私財を投じてDNA鑑定をして犯人説を出しています〕。ムンクの「別離2」「嫉妬」も展示されています。

 第5章は「崇高の風景」・・・「怖い」というより「崇高」感が強い作品が多い。

 第6章は「歴史」・・・この展覧会の最大の見せ場です。この展覧会のポスターに使われているポール・ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」はここにあります。1554年ロンドン塔で処刑された若き女王の処刑シーンを描いています。絵がとにかく大きい〔251×302cm〕、描かれている人間が原寸大に近い大きさです、その上緻密に描かれているので凄い迫力です。ギロチンも無い時代のお話なので斧で首を落とそうとする前の状況ですから・・・「怖い絵」ですね。最後のコーナーにこの絵があるのも当然といった感じであります。

 

 色々な知識があればあるほど楽しめる展覧会ですね。再び書きますが音声ガイドを聞きながら見た方が良かったかな?音声ガイドの内容がわからないのでなんとも言えませんが・・・私は家に帰ってから図録で復習しました。

 

 お盆なので駐車場も珍しく並んでましたね。こういう展覧会が盛況というのも珍しいです〔関テレが結構CMを流した影響?それとも中野京子さんの本の人気のせいでしょうか?〕。

 もう一回空いているときに見に行けたらいいかも・・・図録で予習もできたことだし・・・。行けるかどうかはわからないけど、いろいろ行きたいところがありますからね。