「いい階段の写真集」BMC著/西岡潔写真を読んだ

 「いい階段の写真集」BMC著/西岡潔写真/パイインターナショナルを読みました。 

いい階段の写真集

いい階段の写真集

 

  「怪談の写真集」ではなく「階段の写真集」です。

  前作の「いいビルの写真集west」に続くBMC著/西岡潔写真/パイインターナショナルの本になります。 

いいビルの写真集 WEST

いいビルの写真集 WEST

 

  前書きによりますと「いいビルの写真集」の写真を撮っているうちに撮影の西岡潔さんが階段から離れられなくなり、この本の作成となったようです。この本の写真を見ていると確かに魅力的な階段ばかりなのです。階段だけで一冊の写真集がちゃんと成立するのです。

 前半部〔というより7割ぐらい〕は「いい階段40選」として関西を中心に階段が紹介されています。関西中心というのが関西在住者には嬉しい限り、見に行こうと思えば見に行ける階段があります〔注意書きにもありますが見学不可の階段も多数あり〕。

 個人的に好きなのは大阪府中之島図書館、大阪ビル旧館、国際ビル、ヤクルト本社ビル〔近未来的だ〕、大阪心斎橋店本館〔行ったことあり〕、山本仁商店、綿業会館〔鉄製の非常階段格好いい〕、パレスサイドビル〔ステンレス製独特な構造〕、生駒ビルヂング大阪駅前第2ビル〔ここも行ったことあり、噴水がある〕、大阪倶楽部〔木製手すり渋い〕等々、他のにも良い階段あり。

 後半は「いい階段の見どころ」としてパーツ別鑑賞法の案内。手すり、金物、踏板・床面、照明、階数表示〔階数表示のフォントが凝っていて良い〕、階裏、その他を紹介してます。

 最後に「村野藤吾の鉄製階段」として階段の作り方が載っています。図面を引いて工場で一階組み立てて分解して現場で組み立てる・・・現場に持っていって修正して合わなかったら作り直し、大変です。

 他にも「曲がる木製手すり」や「テラゾー〔この本で初めて詳しく知った〕のささら」の作り方なども載っています。

 階段だけで一冊成立するほど階段は奥が深いですね、第二弾の発売が待たれます。

 前作に続き良い本でした。

 次は「喫茶とインテリアWEST」を買わなければ・・・。

喫茶とインテリア WEST

喫茶とインテリア WEST

 

 

「エロマンガ表現史」稀見理都著を読んだ

 「エロマンガ表現史」稀見理都著/太田出版を読みました。

 

 

エロマンガ表現史

エロマンガ表現史

 

 

 凄いマンガ表現論研究書であります。

 エロマンガの表現そして、その影響を受けたマンガの表現について調べ上げた本です。「エロマンガの表現」について、ここまで調べた本は他には無いと思う。

 エロマンガの表現の幾つかのテーマを中心に本の内容は進みます。

 「おっぱい表現」「乳首残像〔この言葉自体、斬新〕」「触手の発明」「断面図の進化史」「アヘ顔の系譜」「くぱぁ、らめぇの音響史」「規制修正の苦闘史」「海外への伝播」「その他の表現」と進んでいきます。

 このテーマを見ただけでワクワクするのは私だけじゃないでしょう。

 インタビューも石恵、奥浩哉うたたねひろゆき前田俊夫、ジョン・K・ペー太、新堂エル〔敬称略〕と盛りだくさん。

 図版も、とにかく多数。よく版権許可が取れたものだと感心するレベルです。

 読んでいて知らないことばかり〔知ってたことばかりだったら、それはそれで大変だが〕。

 「巨乳」という言葉が80年代後半になってから普及した言葉と言うことだったり〔そう言えば昔は「ボイン」と言ってましたよね、朝丘雪路の胸を大橋巨泉が見ていったのが「ボイン」の始まりと記憶しています、Wikiで調べたらその通りだった〕。

 葛飾北斎以前にタコが快楽目的で女性を襲う春画があったこと〔本筋とはあまり関係ないことだが〕。同じく断面図が春画にあったことも・・・。

 「らめぇ」の元祖探りも面白いし、海外への普及も興味深い。

 後、面白いのは一般マンガへの普及で必ずのように『ToLOVEるダークネス』が出てくること、あれは一般マンガの表現限界への挑戦作品として捉えられますね。

 

 とにかく内容が濃い、深い。

 第二弾も期待したい〔大変だと思いますが・・・〕。

 

 永山薫著/ちくま文庫「増補エロマンガ・スタディーズ」と共に読むとさらにエロマンガの歴史と表現の理解が進むと思います。 

  他にも「らめぇ」の関連本として永田守弘編著/河出文庫オノマトペは面白い」もお薦めです。 

 

「本は若いうちに読め」の本当の意味と私の読書論

 「本は若いうちに読め」とよく言いますが真実です。

 ある年齢以上にならないと実感が湧いてきません。

 世間で言っている意味と違いますが・・・幾つか理由があります。

 

 第一には「眼の衰えです」、これはどうしようもないです。

 四十代後半になると老眼がやってきます。

 近くを見るときには眼鏡が要らないし遠くを見るときには眼鏡が要るし〔近眼と老眼を併発した場合〕、遠近両用だとレンズ代は高く付くし困ったものです。

 焦点が合うのも遅くなります。

 字を追いかけるスピードも遅くなります、眼の動きが遅くなります。

 眼の疲労も酷くなります、治りも遅くなります。〔「若いときは一晩寝たら治ったんだけど」が無くなります〕。

 

 第二に「脳みそ」の衰えですね。

 記憶力が衰えます。登場人物の名前が覚えられなくなってきます、しばらく出てこないと「誰だっけ」と思って前を読み返す事も増えます。

 理解力も衰えます。

 本好きだとよくある話なんですが今までに読んだ本の累積で何の本がどんな筋か錯綜してきます。本屋に行って「この本、読んだっけ?」と思うことも「このシリーズ、何巻まで買ったっけ」なんて事もよくあります。

 

 とにかく年を取ると肉体的に本を読むペースが上がらないのです。

 若いうちにもっと読んでおけば良かった、と思うこともしばしば〔結構、読んできたのですが〕

 

 じゃあ若いうちに無理にでも本を読んでおけと私は書くかというと書きません。

 読書が好きなら「若いうちに読んでおけ」ですね。

 別に無理に本なんか読まなくても良い、というのが私の持論。

 他に好きなことや必要なことがあれば、そっちを優先した方が良いと思います。

 読書をしなくても立派に生きている人は大勢いらっしゃいます。

 私みたいに本ばっかり読んで駄目駄目人生を送っている人もいます。

 何かすることがないかと思ったら運動したり友達と遊んだり読書以外の趣味を持っても良いと思います。

 色々やって、「それでも本が好き」なら思う存分、若いうちに本を読んでください。

 若いうちの方が良いですよ。

 これが私の読書論であります。

展覧会巡り今後の予定

 この先、私が見たい展覧会をメモしておきます。

 順不同。

 行けるかどうか判りません。

 

兵庫県立美術館富野由悠季の世界」

https://www.tomino-exhibition.com

 

・西宮市大谷記念美術館「生誕120年 山沢栄子 私の現代」

otanimuseum.jp

 

国立国際美術館「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への旅」

www.nmao.go.jp

 

国立国際美術館「インポッシブル アーキテクチャー」

www.nmao.go.jp

 

あべのハルカス美術館ギュスターヴ・モロー展」

www.aham.jp

 

あべのハルカス美術館ラファエロ前波の軌跡展」

www.aham.jp

 

あべのハルカス美術館「カラヴァッチョ展」

www.aham.jp

あべのハルカス美術館の3連発は凄い。

 

大阪市立美術館「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」

https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/mary-ainsworth

 

LIXILギャラリー「椅子の神様 宮本茂紀の仕事」

www.livingculture.lixil

 

国立民族学博物館「驚異と怪異 想像界の生きものたち」

www.minpaku.ac.jp

 

このぐらいかな、京都や関東も行きたいけど予算的にも体調的にもしんどいかも。

芦屋市立美術博物館「描かれた神戸・大阪‐阪神名勝図絵と青山政吉」展を見に行ってきた

 芦屋市立美術博物館「描かれた神戸・大阪‐阪神名勝図絵と青山政吉」展を6月22日に見に行ってきました。

ashiya-museum.jp

 表記とは逆に青山政吉さんの水彩画が先に展示してあります。

 阪神間を中心にした昭和の終わりから平成の初めに描かれた絵が中心になっています。阪神家に住んでいる私にとっては身近な風景です。

 青山政吉さんの絵の中では山がテーマのものより海がテーマにしたものの方が私は好きですね。

 

 後半が「阪神名勝図絵」です。

 これは大正5年大阪朝日新聞に連載され翌年、金尾文淵堂で出版された彩色版画であります。

 まだ大正時代だと阪神間は田舎感がありますね、神戸だけが異国情緒漂う波止場姿になっています〔神戸市場も近代的でした〕。今や住宅地となった西宮や香櫨園、住吉、御影、宝塚、雲雀が丘もほぼ農地。さすがに伊丹は城下町ですね。

 江戸から昭和への間の風景が綺麗な版画で表現されていて私にとって見る価値ありでした。

 

 今回は乗り継ぎよく上手くたどり着きました。

 帰りも上手くバスの時間があいました・・・季候が良くて天気が良ければ阪神芦山まで歩いても良いんですけどね。

 行きがけのバスの乗り継ぎ失敗に注意しましょう。

兵庫県立美術館「印象派からその先へ‐世界に誇る吉野石膏コレクション」を見に行った

 兵庫県立美術館印象派からその先へ‐世界に誇る吉野石膏コレクション」を見に行ってきました〔6月15日〕。

 

www.artm.pref.hyogo.jp

 印象派以降の美術品を多くコレクションし山形美術館に委託された吉野石膏コレクションから選ばれた作品を公開する展覧会です。

 印象派以降のフランス近代絵画の有名作家の作品が一通り揃っています。

 展示は「印象派、誕生」「フォーヴから抽象へ」「エコール・ド・パリ」の3つの展示コーナーに分けられています。それでは各パートごとに印象的だった作品と感想を書いていきましょう。

 

 第1章は「印象派、誕生〜革新へと向かう絵画〜」・・・最初にコローの「牧場の休息地、農婦と三頭の雄牛」が展示されています。

 モネの「サン=ジェルマンの森の中で」が美しいです、森林の中で奥に続いている道が描かれているだけなんですけど良いんです。「テムズ河のチャリング・クロス橋」も良いです。ルノワールも7点、展示されています。

 ドガの「踊り子たち(ピンクと緑)」もドガらしい作品〔他に書きようが無い〕。

 ゴッホの「雪原で薪を運ぶ人々」、暗い絵の片隅に描かれた真っ赤な太陽が印象的、若いときから太陽にポイントを置いていたのがよく判ります。

 他にもミレー、クールベ、マネ、ブータンシスレー、カサット、ピサロセザンヌと有名な印象派とその時代の画家の作品が一通り揃っています。

 

 第2章は「フォーヴから抽象へ〜モダン・アートの諸相〜」・・・最初にルオーの「法官たち」が展示されています。印象派の後で見ると絵画の世界がいかに変わったかよく判ります。

 ピカソの「フォンテーヌブローの風景」は新古典主義時代の作品ですが個人的には好きな作品。

 他にもボナール、マティス、マルケ等々こちらも有名どころの作品が揃っています。

 

 第3章は「エコール・ド・パリ〜前衛と伝統のはざまで〜」・・・最初にユトリロの「モンマルトルのミュレ通り」、エコール・ド・パリと言えばユトリロが代表選手になりますか、落ち着いて良い感じです。ローランサンもキスリングもあります。

 シャガールの「パイプを持つ男」がなんとも言えない不気味な感じです。他の展示してある作品〔他9作品展示、一番多い〕と空気が違います。

 

 全72点あり、それも有名作家の作品ばかりの展覧会です。超有名作品があるわけではないですが良い作品揃いです、さすがのコレクションでした。見応えありです。

「昭和40年男2019年6月号特集俺たちのお母さん」CRETEをかなり前に買った

 「昭和40年男2019年6月号特集俺たちのお母さん」CRETEをかなり前に買ってきました。本来ならもっと早く感想を書かないといけなかったんですが諸事情で遅くなってしまいました。

 今号の前半の特集は「俺たちのお母さん」です。

 最初に「編集部が独断で選んだ俺たちの母100」が載っています、1位が「ウルトラの母」、2位が「メーテル」、3位が「八千草薫」です。

 上位で個人的に印象が深いのは「萩本家の母/真野順子」「いかりや長介の「母ちゃん」〔8時だよ全員集合〕」「バカボンのママ」です。

 八千草薫さんは亡くなった父が昔実物を見たことがあって「綺麗な人だったよ」という言葉の印象が強いですね。

 その後は本文として色々な「母」が紹介されます。

 「母性愛が、マンガ家手塚治虫を作り上げた」・・・手塚治虫先生の母親はモダンな人だったんですね〔宝塚歌劇に治虫を子供の時から連れて行ったのは有名な話〕、そして手塚治虫先生の奥さんも凄いですね。虫プロ危機で困難に陥った手塚先生を励ましたのも奥さんだった・・・母と妻が手塚先生を支えたのですね。

 「浪速のオカン」・・・じゃりン子チエの竹本ヨシ江と竹本菊、じゃりン子チエのアニメって面白かったな、関西じゃ土日にしょっちゅう再放送してましたからね〔最近は無し、CSテレ朝2でやってる〕。私は高畑勲の最高作はこの作品だと思ってます、西川のりお中山千夏の配役は抜群〔中山千夏のインタビュー掲載〕。

 「8時だよ!全員集合」・・・いかりや長介の母親役は良かった。

 

 第二特集は昭和64年/平成元年、消費税が始まった年です。

 「F1グランプリ開催」・・・セナプロ対決ですね、セナとプロストの確執が表沙汰になったレースでもあります。マクラーレン・ホンダが強かった時代でもあります〔マルボロ・カラーが懐かしい〕。写真を見るとF1の単純なこと、最近のF1は色々付きすぎでしょ、エンジン〔パワーユニット〕も複雑すぎ、もっと単純にレースが楽しめるシステムは作れないのか?と思う。

 「イカ天」・・・関西じゃ放送してなかったんですよね。関西で放送されてなかった深夜番組って結構あって、「オールナイトフジ」や「トゥナイト」もやってないのです。だから 印象無し。

 「獣神ライガー」・・・今の獣神サンダーライガーですね。1988年4月に東京ドームデビューでしたか〔その前は・・・書かないでおきましょう〕、来年のお正月の東京ドームで引退予定、ドームで始まりドームで終わるという希有な経歴を持つ覆面レスラーとなるのですね。ライガーの凄いところはレスラーとしてだけじゃなくプロデューサーとしての能力、SUPER J−CUPを実現しザ・グレート・サスケハヤブサスペル・デルフィンを世に知らしめたと同時にジュニアヘビー級の価値を高めたことだと思う〔新日本では若い頃の藤波や初代タイガーマスクも盛り上げた、私は新日のヘビーの戦いよりジュニアの戦いの方が好きだ・・・今年のトップ・オブ・スーパージュニアも良かった〕。ライガー引退試合、私の予想では対戦相手は鈴木みのるのような気がする。しかし、この雑誌はプロレス好きだよね、毎号プロレスの記事が載る、楽しみだ。

 「新元号『平成』が施行」・・・昭和が終わって平成が始まっただけで大変な年ですが他にも色々ありました。消費税が始まりました。昭和戦後文化の二大巨頭である手塚治虫美空ひばりが亡くなりました。世界的には天安門事件〔それから30年、同じようなことが香港でおきそうで恐ろしいのですが、中国共産党は30年たっても凶悪〕とベルリンの壁崩壊ですね。バブルも始まりましたよね、初心者エンジニアには恩恵はなかったですけど〔昔から日本はエンジニア軽視〕。

 

 その他の記事から

 「みくに文具のプラモ棚」・・・怪獣「ガイガン」、怪しくて良いですね。

 「昭和40年の男・牧伸二」・・・笑点の演芸コーナー強し。

 「TVの記憶・太陽にほえろ!ジーパン編」・・・やっぱりショーケンが死ぬシーン、あの真似は40年男は必ずやったものです。

 「追憶のボール・宇野勝」・・・どうしてもボールをヘディングしたイメージ強し、珍プレーの定番でしたからね。

 「昭和40年男のための健康講座・いつまでも続くその痛み」・・・私には鍼が効いています。

 

 今回の第1特集に特に気合いが入っていました。